思春期早発症では二次性徴が幼い年齢で出現するため本人や親が社会的に困惑したり、異性に対する関心から引き起こされる、社会的・心理的問題が揚げられます。
また未治療の場合、低年齢の間に思春期の スパートによる急激な身長促進が認められ(いわゆる伸び盛り)、 早期に骨端線が閉鎖するために最終身長が低身長に終わってしまいます。
原因としては、女児では圧倒的に特発性いわゆる原因不明のものが多く、男児では脳腫瘍など器質的疾患に起因するものが多い傾向があります。
異常と捉えるのは極端な高身長や骨年齢の促進が認められる他、下記のような特徴があります。
女児:(1)7歳6ヶ月未満での乳房発育、(2)8歳未満での陰毛発生、または小陰唇色素沈着などの外陰部成熟、腋毛発生、(3)10歳6ヶ月未満での性器出血
男児:(1)9歳未満での睾丸・陰茎・陰嚢などの明らかな発育開始、(2)10歳未満での陰毛の発生、(3)11歳未満での腋毛・ひげの発生や声変わり
以上をあきらかな早発と定義し、この2項目以上を満たせば思春期早発症と診断します。 厚生労働省研究班ー中枢性思春期早発症の診断の手引きーより
ただし厚生省が定める診断基準により思春期早発症と診断されても、必ずしも治療の必要性を規定するものではありません。
従って治療を要するか否かは、(1)身体に不都合があるか否か、(2)あるいは最終身長が極端に低身長に終わる可能性が高いのかどうかが問題になります。もし治療が必要な場合、脳に器質的疾患が存在すればその治療を優先します。 また思春期の進行を食い止めて最終身長を高くする目的では、一般的には、一ヵ月に一回の注射療法が行なわれますが、治療によって身長予後が必ず改善するとはかぎりません。
『診断基準=治療基準』ではありません。早発乳房について
女児において、1-3歳頃に乳房のみの発育が認められることがあり、多くの場合は2-3年以内に自然に退縮します。これを早発乳房といいますが、初期段階では思春期早発症との区別は困難です。