バセドウ病とは、身体の中に甲状腺を刺激する物質(自己抗体:TR-Ab)ができて甲状腺が腫れて大きくなり、甲状腺ホルモンを必要以上に分泌するようになった状態で、甲状腺機能亢進症の代表的な疾患です。甲状腺ホルモンは新陳代謝に関係するホルモンであり、甲状腺ホルモンが過剰な間は新陳代謝が亢進します。いわば身体が絶えず走っている状態なので、検査値が正常化するまでは、激しい運動は避けるようにして下さい。検査値が正常化したら、普通の生活が可能であり特に生活制限の必要はありません。なお、検査値が正常化する前に手術や抜歯などの治療を受けたりすると、症状が悪化することがありますので、事前に必ず主治医に御相談ください。
【原因】人間の身体の中には外敵から身体を守るため”免疫”という防御機能が存在しています。この防御機能をつかさどる、免疫担当細胞(リンパ球、貪食細胞)などの失調が原因と考えられています(自己免疫疾患と呼ばれています)。
【頻度】女性に多い病気であり、軽症例を含めると20-30代の女性の約300人に1人といわれています。家族内発生することもあり遺伝性もあると考えられています。
【症状】未治療時は汗をよくかく(発汗過多)、体重減少、動悸、振戦、不整脈、月経不順、不妊症などの症状があり、また性格が攻撃的になることもあります。眼球突出は目がでたようになるだけでなく、目つきがきつくなったりします。
【治療】バセドウ病では、薬剤、手術、放射線治療の3種類の治療法があります。 小児では飲み薬(抗甲状腺剤)による治療法が一般的ですが、抗甲状腺剤で治療する場合には、少なくとも1年以上薬を飲み続けることが必要です。症状がなくなったからといって勝手に薬をやめることは禁物です。薬で治りにくい場合や、副作用で薬が使えない場合には、手術や放射線治療を行うこともあります。薬の効果は治療開始、約1カ月から2カ月後で現れます。症状が消失しても薬によって抑えられているだけで、病気が治ったわけでなく、服薬をやめるとやがて元に戻ってしまうことが多いので勝手に服薬を中止しないでください。
※ 副作用としては、大変まれですが、好中球(白血球のひとつ)減少症が約0.1%の頻度で生じるといわれています。症状としては、急な発熱とともに扁桃腺炎や喉の痛みが起こります。この様な時にはただちに薬を中止し、近くの病院で白血球数が減少していないかを調べていただくか、または来院してください。薬を飲み初めて3カ月以内に起こることがほとんどです。なお、特に併用してはいけない薬はありませんので、他の薬(風邪薬等)を飲む場合でも一緒に飲んでください。