【概念】 前胸部激痛症候群（Precordial Catch syndrome：PCS）は小児の胸痛の8~9割を占めるといわれているほど頻度が高い病態です。深呼吸をした時などに突然胸部の一部に現れる胸の痛みで、若年者に多く持続時間は30秒~3分以内くらいで、一般診察や検査では異常は認められません。

【解説】 PCSは小児、特に6~12歳に多くみられ、突然の胸痛を来たす良性疾患です。肋骨の間にある肋間筋という筋肉に由来する痛みともいわれており、姿勢が悪いことが関係しているともいわれますが、原因は不明です。

【特徴】

・ 発症形式:発作の誘因はなく、安静時に突然に起こることが 多く、激しい運動時や睡眠中は起こらないようです。

・ 寛解・増悪因子:深呼吸で増強。姿勢を伸ばすと軽快します。 また、突然治まることが多いようです。

・ 性質:鋭く突き刺すような、焼けるような痛みですが、圧痛はあり ません。

・ 部位:左胸部に多いようですが、側胸部、右前胸部にもみられま す。1~2本の指でさせる限局した範囲。

・ 程度:強さの程度は様々です。

・ 時間的経過:30秒~3分以内くらいですが、数回の呼吸で治まったり 30 分以上続くこともあるようです。

・ 随伴症状:他の部位へ拡がることはないようです。

・ 特別な治療法はありません。