疾患の概要
以前は自家中毒症とも呼ばれていたケトン血性嘔吐症は、診断名というより一種の状態の名前ですが、病因は明確ではありません。風邪や疲労・過度の緊張等が引き金になって急に顔色が悪くなり、頻繁に吐き気を訴える状態です。2-10歳、特に6歳以下の子供によく認められるものです。本来エネルギー源にすべきブドウ糖がうまく利用されず体内の脂肪をエネルギー源とする代謝状態になった時、そのもえかすとして溜まってくる血中ケトン体が増加した状態です。
病気の発症が比較的急激で、明らかな原因もなく食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛等を訴え、元気がなくなり活動性が乏しくなります。この場合、軽症の場合は食事療法で対処できますが、脱水がひどい場合や経口摂取が困難な場合は、点滴療法が必要になります。
疾患の一般的治療法
何度も吐いたりすると、顔色が悪くなったり、手足が冷たく感じられるようになります。このような時には、保温及び安静 (患児の情緒不安の除去)に努めてあげて下さい。
食事療法の原則は、水分及び糖質の補給です。
嘔吐がひどく食欲の無い時は摂食を無理強いせず、水分補給に努めてあげて下さい。
嘔吐下痢症で問題になるのは脱水症ですが、脱水症の治療には経口補水療法(ORT)が勧めらます。この場合与える水分としては、炭酸を含まないスポーツドリンク、リンゴ果汁やお茶等を少しずつ頻回に飲ませてあげて下さい。ORT では炭酸を含まないスポーツ飲料、リンゴ果汁やお茶等を少しずつ頻回に与えます。いわゆるスポーツ飲料はナトリウムの濃度が低く、ORT には適していません。
子ども用のイオン飲料水としてはナトリウム濃度が高めてあるものが望ましいです。
嘔気がある時は、ペットボトルのキャップ一杯分を5分毎くらいに与えるようにします。高熱の場合等は、小さな氷塊やシャーベット、低乳脂肪のアイスクリーム等を与えることも良い方法だと思います。
点滴療法
経口摂取を試みても頻回に嘔吐する場合や患児がぐったりする等、全身状態が不良である場合には、脱水症を合併することがあります。この場合には、点滴を行って水分やブドウ糖の補給を行うことになります。
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