2004年12月11日
◎入浴 五十嵐こどもクリニック(東京都練馬区)院長の五十嵐正紘さんは、自治医大教授(地域医療学)だった1999年、かぜの回復と入浴の関係を調べた。計87人のかぜ患者を、入浴したグループとしなかったグループに分け、それぞれ受診から6日後に回復ぶりを確かめると、両グループに差は見られなかった。五十嵐さんは「入浴したければ、入浴しても特に困ったことが起こることはない」という。ただ、体力を奪う長風呂や湯冷めには注意が必要だ。◎解熱 体温は高い方が、かぜのウイルスと戦う免疫は活動しやすいとされる。発熱は、体の防御反応だ。だから五十嵐さんは、つらくて食事もとれないなどの問題がなければ、解熱を急ぐ必要はないという。ただ、40度以上では、免疫反応も落ちるので、解熱を勧めている。 熱がある時に、氷のうで頭を冷やすと、楽になる感じがする。しかし熱を下げるには、首筋やわきなど太い動脈が通っているところを冷やした方が効果的だ。◎鼻水、せき 鼻水やせきは、細菌やほこりの侵入を防ぎ、排出する、体を守るための反応。ただ、鼻が詰まって口呼吸になると細菌など2次感染のおそれが高まる。五十嵐さんは、鼻詰まりには、お湯で温めたタオルを顔にのせる方法を勧める。血行が良くなり、湿気が鼻腔(びくう)に入り、鼻が通りやすくなる。また、眠れないような激しいせきは体力を消耗させる。背中をたたいたり、うつぶせ寝をするとたんを出しやすくなる。ただし、乳児のうつぶせ寝は、窒息死の危険があるので親が横につくようにする。◎民間療法 ショウガをすって湯にいれるショウガ湯。東京都八王子市の薬剤師、堀美智子さんによると、辛味成分のジンゲロールは血行を促進し体を温める効果があるという。漢方のかぜ薬、葛根湯(かっこんとう)にも入っている。温めた日本酒に溶き卵を入れる卵酒では、卵白に、消炎作用のある塩化リゾチームが含まれている。アルコールは血行をよくする。ネギやダイコンは抗菌作用のある成分を含む。堀さんは「民間療法には、生活の知恵とうなずけるものもあります。ひき始めには、かぜに立ち向かう力を後押ししてくれるかもしれません」と話している。 風呂で熱を下げる 体温より5度低いぬるめの風呂に15分ほど入ると、1.5度から2度程度の解熱効果がある。発汗作用が強い解熱剤のように、体内の水分が失われる心配がない。ただ、体が衰弱している時など、解熱のために無理に入るのは勧められない。徳田こどもクリニック:12月19日(日)は診察します。自治医大の報告では、かぜをひいた人87人を『入浴する』、『入浴しない』2つのグループに分け、受診から6日後の回復ぶりをみると、両グループに差はなかったそうです。熱がある時でも体力を消耗しない方法であれば、皮膚の清潔を保つための入浴は差し支えないと考えます。しかし、熱いお湯や長時間の入浴は、体温・皮膚温が上がり体力を消耗しますので避けましょう。
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