2004年12月9日
喫煙開始年齢が低いほど依存性が強くなり、発がんや死亡のリスクは高くなります。未成年でタバコを吸い始めた人は、非喫煙者に比べて5.7倍も多く肺がんで死亡しているのです。 子どもに対するタバコの害は、母親の喫煙による低出生体重、早産、周産期死亡、乳幼児突然死症候群の増加、受動喫煙による気管支炎・肺炎や気管支喘息(ぜんそく)、中耳炎の増加、さらにはタバコ誤飲事故や火傷、火災による死亡、父母の喫煙による疾病や若年死、喫煙による経済的損失など枚挙にいとまがありません。日常生活レベルの受動喫煙を受けている非喫煙者の14%(7人に1人)が受動喫煙によって命を落としていることがわかってきました。 さらに、喫煙家庭で育った子どもは大きくなってタバコを吸い始める率が高くなるという点は重要です。喫煙者の子どもは、喫煙に対する心理的な抵抗感が少ないのです。また、喫煙者は一般にタバコの害を知らず、子どもの喫煙を見て見ぬふりをする傾向にあります。中・高校生の2~5%が親からタバコを勧められたことがあるという驚くべき数字もあります。そして、喫煙者となった子どももタバコ関連疾患によって早死にし、悪い連鎖は孫の代に引き継がれていくのです。 この連鎖を断ち切るためには、まず親や教師、地域の人たちがタバコの害についての正しい知識を持ち、子どもに無煙環境を与えるよう取り組んでいくことが必要です。具体的には、学校の完全禁煙化、屋外自動販売機や広告の規制、タバコ税の大幅増税、テレビドラマにおける喫煙シーンの規制、喫煙は格好悪いという価値観形成を助ける教育などにより、子どもがタバコに手を出しにくくする環境をつくっていくのです。 ニコチン代替療法(ガムやパッチ)の進歩により、禁煙のハードルは低くなっています。両親の禁煙と子どもへの防煙教育は、子どもの健康な一生への何にもまさる贈り物なのです。 徳田こどもクリニック:12月12日(日)は休診です。3-4日程高熱が続く風邪や、ウイルス性胃腸炎が流行っているようです。咳をする子が多いようですが、周囲に喫煙者がいると、長引くことが多い様です。保護者が喫煙者の場合、子どもは喫煙に対する心理的な抵抗感が少なく、喫煙家庭で育った子どもは大きくなってタバコを吸い始める率が高くなるという報告もあります。お子様の咳、御自身の健康を考えて、禁煙してみませんか?