2004年10月28日
遺伝が関与するのはアレルギー性鼻炎や鼻の形ですが、いずれも副鼻腔炎の発病に関わります。まずは本当にかぜなのかを見極めるため、専門医を受診して診断を受けましょう。 アレルギー性鼻炎は文字通りアレルギーによる鼻炎で、遺伝に起因して起こります。一方、副鼻腔炎の多くは細菌やウイルスの感染が原因ですので、直接的には遺伝は関与しません。 しかし、副鼻腔炎には鼻の形態が関与し、それには遺伝が関わりますので遺伝を無視できません。人の鼻は極めて多彩な形をしており、鼻の中の空洞が小さかったりすると副鼻腔炎になりやすいと言えます。 ご質問はたぶん幼少のお子さんだと思いますが、お母さんとお子さんの症状は似ていて、同じ時期に出ませんか? もしそうならお子さんのかぜの症状の原因として、二つの理由を考える必要があります。 一つは、副鼻腔炎の影響です。幼少時は細菌やウイルスへの抵抗力が弱く、免疫力が未熟なため感染を反復します。つまり、かぜを引きやすいと言えます。 もう一つは、アレルギーです。アレルギー性鼻炎はしばしば症状がかぜと似ているため、かぜと間違われていることがあります。アレルギーがあると副鼻腔炎になりやすく、治りにくいと言えます。また扁桃(へんとう)炎やアデノイド(鼻の奥とのどの境にできる腫れもの)などの合併も治りにくくなる原因となります。 小児副鼻腔炎には、栄養、家のほこりやダニなど、また定期的に泳ぐ人ではプールの水なども影響します。ある時期、治ったり悪化したりを繰り返す不安定な時がありますが、多くの人は成長するにつれて免疫力も体力も強くなるので、正しく治療すれば、その後は成長と共に軽快していきます。 治療は抗生剤が効果的で、今は長期に使えるものがあります。内視鏡を用いた手術も進歩して、より高度な手術が可能となりました。 さて、お母さんの鼻の症状は現在治っていますか? もし治っていないなら、すぐに専門医を受診してお子さんの病気が本当にかぜなのかを見極めることが大切です。なぜなら副鼻腔炎だと早期に治療しないと慢性化しやすく、慢性化すると自然には治りにくくなってしまうからです。正しく診断されればお子さんだけでなく、お母さん自身の治療法も見つけることができます。
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