2004年3月31日
起立性調節障害(OD)は、思春期に特有の自律神経機能の失調症です。軽症を含めると、思春期の子どもの約1割にみられる、頻度の高いものです。 自律神経は血液の循環や胃腸の動きなど、全身の機能を調節しています。この働きがバランスを崩すと、たちくらみやけん怠感、頭痛、朝起きられない、腹痛などの症状が起きます。 特に午前中の症状が強く、病院を受診するODの子どもの3―4割に不登校がみられます。一方、夜は目がさえ、寝つきが悪くなります。血液検査などでは、異常は見つかりません。立ち上がる時に血圧が低下したり、急に低血圧の発作が起きたり、脈が速くなったりするタイプがあります。 ODの子どもは、親からみると手がかからず育てやすい、いわゆる「過剰適応」の性格が多く、ストレスをためやすい傾向があります。ストレスが自律神経の働きに悪影響を及ぼし、体の症状が出ると同時に、抑うつ的な気分になります。 治療は、心と体の両面から行います。重症度によって治療は異なりますが、一般的には、就寝や起床時間などの生活リズムや食生活を整えたり、散歩などの軽い運動をしたりします。 立つ時は、頭を下げたままゆっくり立ち、上体を静止したままの起立は避けるようにします。食塩を多めにとり、暑さは避けるようにしましょう。また、心のストレスが軽くなるよう、家庭や学校などの環境に配慮することも大事です。詳しくは「低血圧サポートグループ」のホームページ(http://www.inphs.gr.jp)をご覧ください。<田中英高 大阪医大小児科助教授(大阪府高槻市)> 徳田こどもクリニック:4月11日(日)は休診です。新学期が始まると、思春期前後に特有の自律神経機能の失調症として、起立性調節障害をきたすことがあります。めまい、たちくらみやけん怠感、頭痛、朝起きられない、腹痛などの症状が起きます。学童の1割くらいに見られ、男子よりも女子に多く、春から夏にかけて多発します。治療は、心と体の両面から行いますが、登校できない程の症状が続く場合は、専門医への受診が必要です。