2003年12月18日
胸の一部がへこんでいる状態を漏斗胸と言います。原因は明らかではありません。遺伝的要因もありますが、赤ちゃんの時期に、何らかの原因で呼吸困難の状態が続き、陥没呼吸(胸がペコペコへこむ、あえぐような呼吸)をした結果、なることもあります。一般に男の子に多く起きます。 成長と共に治るものではなく、次第に胸のへこみ(陥凹(かんおう))や背骨の変形が目立つようになることがあります。割合はそれほど多くありませんが、ぜんそくのような発作や、運動をした時の呼吸困難、胸の圧迫感、女の子は乳房の発育不全などを伴うことがあります。 軽い漏斗胸で、こうした症状を伴わないのであれば、無理に治療をする必要はありません。漏斗胸は、日常生活で特に気をつける点はなく、通常のお子さんと同じように通学や運動が可能です。 しかし、胸のへこみがひどい場合などは、手術が勧められます。 手術にはいろいろな方法があり、一長一短があります。最近は、胸の内視鏡を使って、特殊に加工された金属のバーを肋骨(ろっこつ)と胸骨の下に入れ、胸の形を矯正する手術(NUSS法)が普及してきました。金属は2―3年ほど胸の中に置いておき、へこみが矯正された後で、再手術をして抜きます。 この方法は、手術の傷跡が小さく、胸の形がきれいになるなど、美容の面でも優れています。手術は5、6歳以降がよいでしょう。なお、特殊な体操やコルセットなどで漏斗胸を矯正することは困難です。
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