2003年7月5日
身長が低いといっても、検査や治療を要する「低身長」かを判断する必要があります。それには「マイナス2SD」という基準が使われます。 平均身長をどの程度下回っているかを、標準偏差(SD)という指標によって見るもので、マイナス2SDを下回れば低身長です。大ざっぱにいって、100人中2―3番目に低い身長に相当します。この方は年齢での基準下限を下回っていますので、低身長にあたります。 原因は様々です。成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足、染色体異常、骨や軟骨、肝臓、腎臓、消化管などの異常によるものなどが知られています。原因によって治療法は異なりますので、正確な診断を受けることが大切です。 しかし、詳しい検査をしても約7割は原因がはっきりしません。親の身長が低い場合、遺伝によって子どもが低身長になることもありますが、ご両親はさほど身長が低いとは言えません。 妊娠期間が正常範囲と言えるのに小さく生まれた子どもの場合、多くは3歳ころまでに正常範囲に追いつきますが、2割程度は低身長のまま成長します。これを「子宮内発育遅延性(SGA)低身長」と言い、この方は該当するかもしれません。 原因によっては低身長には成長ホルモンが有効です。しかし、SGAに関しては、日本では承認された治療法ではありません。 これから思春期になって急速に身長が伸びる時期を迎えますので、その前にSGA低身長かどうか、他に原因がないかを調べ、定期的に経過を見るべきだと思います。また、性的発育(二次性徴)がどのように進むかも、将来の身長に大きく影響します。小児内分泌の専門医の診断を受けることをお勧めします。
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